製紙業界のパルプ化工程では、原材料(木材チップや廃紙など)に砂、砂利、金属、プラスチックなどの不純物が含まれることがよくあります。これらの不純物を適時に除去しないと、後続設備の摩耗を加速させ、紙の品質に影響を与え、生産の中断につながることもあります。重要な前処理装置であるスラグ排出分離機は、以下の中核機能を備えています。パルプから重い不純物と軽い不純物を効率的に分離する後続のパルプ化工程にクリーンなパルプを供給し、製紙生産ラインの安定した稼働を確保するための重要なリンクとして機能します。
I. コア動作原理:「密度差と機械的分離」の両方によって駆動
スラグ排出分離機の分離ロジックは「不純物とパルプの密度差」に基づいており、その機械構造によって段階的な不純物除去を実現します。主流の技術プロセスは2つのステップで構成されています。
- 重質不純物分離パルプは装置の供給口から流入すると、まず「重質不純物分離ゾーン」に流入します。このゾーンでは、パルプの流速が遅くなります。砂、砂利、金属塊など、パルプよりもはるかに密度の高い重質不純物は、重力によって急速に装置の底に沈降します。その後、自動または手動のスラグ排出バルブから定期的に排出されます。
- 軽質不純物分離重質不純物が除去されたパルプは、「軽質不純物分離ゾーン」へと進みます。このゾーンには通常、回転式スクリーンドラムまたはスクレーパー構造が備えられています。プラスチック片、繊維束、塵埃など、パルプよりも密度の低い軽質不純物は、スクリーンドラムによって捕捉されるか、スクレーパーによって掻き取られます。最終的に、軽質不純物は軽質不純物排出口から回収され、清浄なパルプは次の工程に進みます。
II. 主要な技術的パラメータ:分離効率に影響を与える中核指標
スラグ排出分離器を選択して使用する場合、生産ラインの要件に合わせて次のパラメータに重点を置く必要があります。
- 処理能力単位時間あたりに処理できるパルプの量(通常はm³/hで測定されます)。過負荷や生産能力の無駄を避けるため、前段パルプ製造設備の生産能力と一致させる必要があります。
- 分離効率:不純物除去効果を測る中核指標です。重質不純物(金属や砂など)の分離効率は一般的に98%以上、軽質不純物(プラスチックや粗繊維など)の分離効率は90%以上が必要です。分離効率が不十分な場合、紙の白度や強度に直接影響を及ぼします。
- スクリーンドラムの開口部:軽質不純物の分離精度を決定し、原料の種類に応じて調整されます(例:古紙パルプ化では0.5~1.5mmの目開きが一般的ですが、木材パルプ化では適宜拡大します)。目開きが小さすぎると目詰まりしやすくなり、大きすぎると軽質不純物が漏れてしまいます。
- 動作圧力:装置内におけるパルプの流動圧力(通常0.1~0.3MPa)。圧力が高すぎると装置の摩耗を引き起こし、低すぎると分離速度に影響します。供給バルブによる正確な制御が必要です。
III. 一般的なタイプ:構造と用途による分類
製紙原料(木材パルプ、廃紙パルプ)と不純物の種類の違いにより、スラグ排出分離装置は主に2つのカテゴリーに分けられます。
- 重質不純物分離機(デサンダー):重質不純物の除去に重点を置きます。一般的な「縦型デサンダー」は構造がコンパクトで設置面積も小さいため、中小規模の生産ラインに適しています。一方、「横型デサンダー」は処理能力が大きく、目詰まり防止能力も強いため、主に大規模な古紙パルプ生産ラインで使用されています。
- 軽質不純物分離装置(スラグ分離装置):軽質不純物の除去を重視します。代表的なものは「圧力スクリーン式スラグセパレーター」で、回転スクリーンドラムと圧力差によって分離を実現し、選別とスラグ除去の両方の機能を備えています。木材パルプや竹パルプなどのクリーン原料のパルプ化工程で広く使用されています。また、「遠心式スラグセパレーター」もあり、遠心力を利用して軽質不純物を分離し、高濃度パルプ(濃度≥3%)の処理に適しています。
IV. 日常メンテナンス:機器の寿命を延ばし、効率性を確保するための鍵
スラグ排出分離装置の安定稼働は定期的なメンテナンスにかかっています。主なメンテナンスポイントは以下のとおりです。
- スクリーンドラムの定期清掃:毎日の運転停止後、スクリーンドラムが詰まっていないか確認してください。開口部が繊維や不純物で詰まっている場合は、高圧水ガンで洗い流すか、専用の工具で除去してください。そうすることで、次回の作業での分離効率に影響を与えません。
- スラグ排出バルブのシール確認重質および軽質不純物排出バルブからの漏れは、パルプロスの原因となり、分離効果を低下させます。バルブシートの摩耗を毎週点検し、ガスケットや損傷したバルブは適時に交換する必要があります。
- 主要部品の潤滑回転軸やベアリングなどの機器の可動部分に専用の潤滑油を毎月補充することで、乾燥摩擦による部品の損傷を防ぎ、耐用年数を延ばします。
- 動作パラメータの監視:制御システムを通じて、処理能力、圧力、電流などのパラメータをリアルタイムで監視します。異常なパラメータ(急激な圧力上昇や過大電流など)が発生した場合は、過負荷による機器の損傷を防ぐため、直ちに機械を停止して点検してください。
V. 産業発展の動向:「高効率・インテリジェンス」へのアップグレード
製紙業界における環境保護と効率性に対する要求が高まるにつれ、スラグ排出分離機は主に 2 つの方向に発展しています。
- 高効率:流路設計の最適化(例:「デュアルゾーン分岐構造」の採用)とスクリーンドラム材質のアップグレード(例:耐摩耗性ステンレス鋼、高分子複合材料)により、分離効率がさらに向上し、パルプロスが低減します(ロス率を3%から1%未満に低減)。
- 知能センサーとPLC制御システムを統合し、「自動監視、インテリジェント調整、故障早期警報」の統合を実現します。例えば、不純物濃度センサーを介してパルプ中の不純物含有量をリアルタイムで監視し、供給圧力とスラグ排出頻度を自動調整します。設備の詰まりや部品の故障が発生した場合、システムは即座に警報を発し、メンテナンス提案を送信します。これにより、手動介入が削減され、生産ラインの自動化レベルが向上します。
結論として、スラグ排出分離機は製紙生産ラインにおける最も「中核」的な設備ではないものの、後続工程の安定性を確保し、紙の品質を向上させるための「礎」となる設備です。適切な機種選定、パラメータ管理、適切なメンテナンスは、生産コストの効果的な削減、設備故障の低減につながり、製紙企業の効率的な生産を支える重要なサポートとなります。
投稿日時: 2025年10月21日

